密集住宅市街地整備促進事業について
◆野田雅之 委員 10款3項2目、密集住宅市街地整備促進事業について伺ってまいります。
先ほど浜田委員からも出たのですけれども、過去の南関東で発生した大きな地震から想定した発生確率が今後30年以内に70%で起こるとされました首都直下地震ですが、本市も当然のことながらその地域に含まれて、本市の直下を震源とする被害想定も行われております。この間も地震大国の日本では、各地で大きな地震が発生し、被害を出しております。過去の関東大震災や阪神・淡路大震災などの大都市における地震では大規模な火災が発生、被害を拡大しております。また、近年では、北九州市の旦過市場や、糸魚川市での大規模火災などは記憶に新しいところで、本市も大規模な火災延焼を未然に防ぎ、市民の生命と財産を守るための取組が求められます。そこで、本市にも点在する火災延焼被害や建物倒壊、避難等の課題が特に大きい幸区の幸町周辺及び川崎区小田周辺の2地区の不燃化重点対策地区に対する取組について伺ってまいります。
密集住宅市街地整備促進事業補助金における老朽建築物の解体除却及び耐火性能強化工事に対する補助金について、各地区における執行実績、執行額、執行率と今後の見解について伺います。
◎樋口真紀 防災まちづくり推進課長 老朽建築物除却及び耐火性能強化に対する補助金についての御質問でございますが、初めに、当該補助金につきましては、不燃化重点対策地区である幸町周辺地区及び小田周辺地区において、耐用年数を経過するなどした老朽建築物の除却及び耐火性能強化に対し費用の一部を支援するものでございます。幸町周辺地区につきましては、老朽建築物除却が20件、1,875万8,000円、耐火性能強化が1件、168万円、小田周辺地区につきましては、老朽建築物除却が36件、2,931万6,000円、耐火性能強化が6件、608万円となっております。執行額は合計で5,583万4,000円、執行率は99%でございます。両地区合わせて予算額の上限に迫る申請をいただいているところであり、耐用年数を迎える老朽建築物は増加していくことから、密集市街地の改善に向けて、今後もこうした支援等が必要であると認識しております。以上でございます。
◆野田雅之 委員 両地区合わせて予算額の上限に迫る申請があって、有効的に活用されていることが分かりました。今後もこのような支援等が必要とのことで、しっかりと制度の充実を図っていただくよう要望いたします。次に、建築物の共同化建て替え工事・設計に対する補助金について、直近の実績と本制度の需要について伺います。
◎樋口真紀 防災まちづくり推進課長 建築物の共同化に対する補助金についての御質問でございますが、令和3年度におきましては、幸町周辺地区において3棟の老朽建築物を1つの耐火建築物に共同化して建て替える際に、除却費の一部を支援したところでございます。このような建て替え計画は、未接道等の理由により単独での建て替えが困難な老朽建築物を改善できる可能性があることから、密集改善効果が高いと認識しております。共同化に当たりましては、地権者の合意形成などに課題があり、実績は限られているものの、需要は一定数あると考えられることから、今後も共同化の推進に向け、職員による働きかけを継続するとともに、地権者に対する専門家派遣制度を実施するなど、機会を捉えて周知啓発に努めてまいります。以上でございます。
◆野田雅之 委員 共同化の需要に対して密集改善効果が高いと認識しており、一定の需要があるとのことです。さらなる取組の充実を要望いたします。次に、密集住宅市街地整備促進事業における防災空地の創出についての成果と各地区についての見解を伺います。
◎樋口真紀 防災まちづくり推進課長 防災空地の創出についての御質問でございますが、防災空地につきましては、一定期間にわたる土地所有者と地元町内会による維持管理への御協力をいただき運営するものでございまして、幸町周辺地区では現在、防災空地の整備事例はございませんが、小田周辺地区において、これまで3件を整備したところでございます。整備した防災空地につきましては、災害時には、火災延焼の遅延や一時退避場所、消防活動用地等として期待されるとともに、平時においては、地域交流の場として使われております。今後も引き続き土地所有者や維持管理していただく町内会の御理解を得られるよう取組を進めてまいります。以上でございます。
◆野田雅之 委員 幸町周辺地区と小田周辺地区において整備数がちょっと違ってきているのは、地域特性などがあるのかと考えるところであります。今後も地域の理解を得る取組をお願いいたします。次に、不燃化重点対策地区に向けた周知啓発として、令和3年度には当該地に広報誌の配布を行ったとのことですが、広報誌の内容、配布方法、配布数を伺います。また、これまでの広報誌に対する問合せの状況と今後の取組について伺います。
◎樋口真紀 防災まちづくり推進課長 広報誌による啓発についての御質問でございますが、広報誌につきましては、地域住民の皆様の防災意識の醸成や支援制度の周知等を目的に配布しているものでございまして、令和3年度のテーマといたしまして、共同建て替えや支援制度、不燃化の進捗状況等を掲載しております。配布方法といたしましては、年2回のポスティングによる全戸配布を行っており、幸町周辺地区は約5,000戸、小田周辺地区は約8,500戸に配布しております。お問合せ内容につきましては、補助金などの支援制度に関することが中心でございます。これまで地区内における広報誌の全戸配布や、店舗等へのパンフレットの配架、SNSなどを活用した広報の結果、制度理解は少しずつ進んでいる状況でございますので、今後も引き続き様々な機会を捉えて周知啓発の取組を進めてまいります。以上でございます。
◆野田雅之 委員 年2回の地区内の全戸配布によって、支援制度に対するお問合せがあったとのことです。今後もお問合せには丁寧に対応していただければと思います。今後も地区内の方々に火災延焼被害や建物の倒壊、避難等、課題が大きい地域である不燃化重点対策地区であることを認識し続けていただくような制度の活用等で安全・安心なまちづくりが進むよう、さらなる啓発と制度の充実に努めていただくよう要望をいたします。
次に、10款2項2目、防災まちづくり支援促進事業について伺ってまいります。本市には、今触れました特に課題の大きい不燃化重点対策地区以外にも、課題の大きい防災まちづくり推進地区として16の地区があります。これらの地区に向けた取組について伺ってまいります。まず、支援事業実施委託料について、令和3年度の決算額とその内訳について伺います。また、併せて具体的な取組内容について伺います。
◎樋口真紀 防災まちづくり推進課長 防災まちづくり支援事業実施委託料についての御質問でございますが、令和3年度の決算額につきましては1,410万2,000円でございまして、その内訳につきましては、町内会の防災の取組を支援するための防災専門コンサルタントへの3件の業務委託料、それぞれ447万7,000円、478万5,000円、484万円となっております。令和3年度は11の町内会で支援を実施しておりまして、その取組内容につきましては、それぞれの地域の状況に応じて、防災まちあるきや防災に関する意見交換会、地域に即した防災訓練、地域で導入する防災資器材の検討を支援するなど、減災に向けた自助、共助の取組の推進を図ったところでございます。以上でございます。
◆野田雅之 委員 昨年度、11町内会で実施をしたということで、いろいろ町内会によって課題は様々だと思います。地域の状況に応じて対応していただいているということで、今後もよろしくお願いいたします。それでは次に、本事業は今年度で6年目の取組となりますが、現在までの進捗と成果について伺います。また、今後の展開についても伺います。
◎樋口真紀 防災まちづくり推進課長 取組の進捗等についての御質問でございますが、初めに、これまでの取組の進捗につきましては、対象となっている火災延焼リスクの高い16地区94町内会を対象に、毎年度、3町内会を基本として選定し、3年間の支援を進めており、平成25年度からのモデル事業を含め、令和3年度末時点で22の町内会で支援を行ってきたところでございます。次に、取組の成果につきましては、地域独自の防災マップの作成やマイ・タイムラインを実施するワークショップ等を行うなどの地域課題に応じた取組を推進することで、地域防災力の向上が図られたものと考えているところでございます。次に、今後の展開につきましては、引き続き対象地域での防災活動の実績を積み重ねながら、これまでの活動の好事例等についてパンフレットや広報誌等により広く周知を行い、他の地域での展開に向けて取組を進めてまいります。以上でございます。
防災まちづくり支援促進事業について
◆野田雅之 委員 それでは、防災まちづくり支援促進事業の啓発パンフレット、平成31年3月に発行されたものですけれども、「防災+減災まちづくりのススメ」の中においても普及促進を目指しております感震ブレーカーについて伺います。平成29年1月には、国が公表した重点密集市街地である幸区幸町3丁目地区及び川崎区小田2丁目・3丁目地区の約200世帯を対象に無償で感震ブレーカーを配付するモデル事業を実施、その後、設置世帯へのアンケート、設置に御協力いただいた町会を対象にヒアリングを実施しております。私も以前より面的整備や補助制度などの導入を求めてまいりましたが、現在までの取組状況と今後の方向性を伺います。
◎堀町晋 危機管理本部危機対策部担当課長 感震ブレーカーについての御質問でございますが、震災時の火災予防を目的とした機器であり、分電盤等に合わせた設置や、その特性を踏まえた利用が求められております。特に、発災時刻や震度などによって有効性も異なることから、普及に向けた啓発が必要と考えておりまして、過去には防災啓発冊子や防災タブロイド誌への折り込み配布、出前講座や防災イベントなどの機会を活用して取り組んできたところでございます。以上でございます。
◆野田雅之 委員 それでは、意見要望させていただきます。昨年度末時点で16地区94町内会のうち22の町内会で支援が行われてきたとのことですが、まだ72町内会については取組が行われていないこととなります。さらなる拡大に向けて取組の充実を要望いたします。また、既に取組が行われた町内会の中でも、その後、取組の充実を図る、例えば幸区の小向町内会などの町内会もあれば、停滞している町内会もあるかと思っております。自助、共助の取組として、本来自主的に展開を拡大してほしい取組でありますが、その後の進展も課題の一つです。これらの課題も検証し、今後の取組に生かしていただくよう要望いたします。感震ブレーカーについてですが、私も以前から普及促進に向けて、市の施策の充実を求めてまいりました。モデル事業実施後から現在に至るまでのこの間、取組の充実はあまり進展していない感が否めませんが、大規模災害のない安全・安心なまちづくりに向けて、改めて面的整備に向けた補助制度などの導入を強く要望し、質問を終わります。