6款3項3目産業廃棄物指導費、PCB廃棄物処理推進費について
◆野田雅之 委員 6款環境費3項ごみ処理費3目産業廃棄物指導費の中のPCB廃棄物処理推進費について伺ってまいります。昭和43年に起きたカネミ油症事件によって、健康被害を生ずるおそれがあるとして、ポリ塩化ビフェニル、いわゆるPCBの製造、輸入、新たな使用が禁止されて、平成13年にポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法が制定、平成28年に法改正、処理に向けての国の方針が示されました。市内には行政、民間、個人の所有する、期限までに処理を終える必要のある多くのPCB廃棄物があることが想定されておりまして、本年6月の一般質問でも取り上げさせていただきました。そこで、本市の令和2年度決算では、PCB廃棄物処理推進費として4億3,200万5,073円が計上されましたが、本取組の内容について伺います。
◎井上雄一 廃棄物指導課長 PCB廃棄物処理推進費についての御質問でございますが、令和2年度の取組の内容につきましては、市内のPCB廃棄物を保有等している事業者を把握するための掘り起こし調査と、庁内の処理対象となったPCB廃棄物の処理を中間貯蔵・環境安全事業株式会社——JESCO及び国が認定した無害化処理認定施設において行っているところでございます。以上でございます。
◆野田雅之 委員 それでは、令和2年度の実績を伺います。また、本事業の現在までの実績と進捗を伺います。
◎井上雄一 廃棄物指導課長 PCB廃棄物の処理についての御質問でございますが、令和2年度の市内PCB廃棄物処理の実績についてでございますが、国が策定したPCB廃棄物等の掘り起こし調査マニュアルに従い、14万5,021件(後刻「1万4,521件」と訂正)の調査を実施し、決算額は2,376万円となっております。また、平成28年度から現時点で延べ5万4,775件について調査を実施し、その結果を期限内処理に向けた指導等にフィードバックしてきたところでございます。次に、庁内のPCB廃棄物処理についてでございますが、令和2年度は安定器、汚染物等17.2トンの処理を行い、決算額は4億824万6,000円となっております。また、処理を開始した平成29年から現時点までに累計で変圧器、コンデンサー167台、安定器、汚染物51.4トンの処理を行い、令和3年度中におおむね処理を完了する見込みでございます。以上でございます。
◆野田雅之 委員 令和2年度には1万4,000件を超える調査と、庁内の17.2トンの処理をしたということでありました。また、平成29年からは51.4トンの処理、令和3年度中におおむね処理を終えるということでありました。それでは、今後の取組の考え方について伺います。
◎井上雄一 廃棄物指導課長 今後の取組の考え方についての御質問でございますが、本市が属する東京事業エリアにおきましては、PCB特措法により、高濃度PCB廃棄物のうち、変圧器、コンデンサー類につきましては令和3年度末まで、安定器、汚染物等につきましては令和4年度末まで、低濃度PCB廃棄物につきましては令和8年度末までに処理を行うこととなっておりますので、引き続き国の動向を注視するとともに、処理が先行している北九州、大阪、豊田の各事業エリアや近隣の自治体などとも情報共有を図りながら、期限内処理に向けた取組を進めてまいります。
すみません、先ほどの答弁の内容で、国が策定したPCB廃棄物等の掘り起こし調査マニュアルに従い、14万5,021件と説明いたしましたが、1万4,521件に修正させていただきます。申し訳ありませんでした。以上でございます。
◆野田雅之 委員 国から処理の期限を設けられた高濃度及び低濃度の廃棄物処理でありますが、自治体として期限に遅れることなく計画どおりに進められていることは認識をさせていただきました。引き続き、残された廃棄物を期限内に漏れなく処理するようお願いをいたします。そんな中、同様に中小企業者や個人による処理も進められております。本年6月の一般質問の際には、東京都による微量PCB廃棄物の分析費用や処理費用に対する補助制度について触れさせていただきました。処理による予算を経営状況等に左右されず計上できる自治体とは違いまして、中小企業者や個人における処理の負担は非常に大きなものとなるはずであります。東京都の取組は、高濃度処理を終わらせた後に進める微量のPCBに汚染された絶縁油や電気機器を適正かつ早期に処理する目的で設けられているわけであります。国内においては数少ない事例でありますけれども、明確に民間や個人による処理の促進を図った取組であります。本市においても、中小企業者や個人の有するPCB廃棄物の処理促進に向け、ぜひとも取組の強化を図っていただきたく要望して、終わらせていただきます。
港湾整備事業特別会計1款1項1目港湾総務費、国際コンテナ戦略港湾事業関係補助金について
◆野田雅之 委員 よろしくお願いいたします。港湾整備事業特別会計のうち、1款港湾整備事業費1項運営費1目港湾総務費の中の国際コンテナ戦略港湾事業関係補助金について伺ってまいります。現代社会において、サプライチェーンがグローバル化する今、私たちの生活は輸入品なくして成り立たない状況になっており、多くの国々との活発な貿易は本市にとっても今後も重要なものとなってまいります。このような状況下で、本市は国内主要港で国際コンテナ戦略港湾である川崎港を有し、その果たす役割はますます増すばかりであります。また、川崎市が産業立地競争力を維持、強化するためにも、利便性の高いコンテナ航路網が不可欠であります。このような中、川崎港コンテナターミナルの取扱量や航路数が増加していることは大変望ましいことであると思っております。そこで、令和2年度の決算では、国際コンテナ戦略港湾事業関係補助金として1億4,933万6,000円を計上しています。本補助金制度の概要と活用実績としての事業者数、これにより増加した川崎港コンテナターミナルの取扱量について伺います。また、制度設立時の平成23年度以降の制度利用実績に対する見解を伺います。
◎齋藤達雄 経営企画課担当課長 コンテナ貨物補助制度についての御質問でございますが、初めに、本制度の概要につきましては、国際コンテナ戦略港湾である京浜港の国際競争力強化に向けた取組の一環として平成23年度から実施しているもので、川崎港の利用促進を図るため、新たに川崎港コンテナターミナルを利用する事業者、川崎港コンテナターミナルを基点として同一の海上コンテナを往復輸送する事業者、川崎港コンテナターミナルを利用する川崎市内の中小企業等に対して一定の補助金を交付するものでございます。次に、本制度を利用した昨年度の事業者数につきましては、48社でございます。また、この制度を利用してポートセールスを展開した結果、令和2年度におけるコンテナ貨物取扱量は約1万TEU増加したところでございます。次に、コンテナ取扱貨物量は、本制度が創設された平成23年度と令和2年度を比較すると約5倍となり、定期航路も6航路から13航路へと増加し、本制度の有効性が高かったものと認識しているものでございます。今後につきましても、令和7年度におけるコンテナ貨物取扱量20万TEUの目標を達成するため、新規航路の開設や新規荷主の獲得など、コンテナ貨物の集貨に向けて引き続き本制度を効率的かつ効果的に活用し、貨物量の増加に努めてまいります。
◆野田雅之 委員 答弁では、平成23年度の制度設立から昨年度まででコンテナの取扱貨物量が5倍に膨らんで、定期航路も7路線増加、本制度の有効性が高かったとの評価でありました。それでは、昨年度までの取組を踏まえ、川崎港コンテナターミナルのさらなる利用促進に向けた対応について伺います。また、昨年から新型コロナウイルス感染症が本市の経済や世界経済にも大きな影響を及ぼしていますが、右肩上がりの成長を期待する川崎港において、今後、適時的確に対応することが求められますが、見解を伺います。
◎齋藤達雄 経営企画課担当課長 さらなる利用促進に向けた方策についての御質問でございますが、本港においては、東南アジアや中国などを結ぶ航路の拡充、既存荷主の利用拡大、さらには新規荷主の開拓に重点的に取り組むなど、官民一体となった戦略的なポートセールスを展開しているところでございます。また、本年5月より、輸出貨物を取り扱う荷主の皆様により多く利用していただけるよう、補助制度の利用条件の緩和や単価の見直しを行い、輸出貨物の獲得につなげる施策を実施しているところでございます。あわせて、輸出貨物を取り扱う新たな荷主の獲得や、コンテナを輸送するトレーラーの走行距離の削減による脱炭素化にも寄与するラウンドユースの取組を促進するため、補助制度を拡充したところでございます。今後につきましては、新型コロナウイルス感染症をはじめ様々な事態に対応できるよう、官民連携によりコンテナ貨物集貨になお一層取り組み、コンテナターミナルの利用促進を図ってまいります。以上でございます。
港湾整備事業特別会計1款2項2目東扇島コンテナ機能施設整備費について
◆野田雅之 委員 それでは、次に移ります。港湾整備事業特別会計1款港湾整備事業費2項整備費2目東扇島コンテナ機能施設整備費について伺ってまいります。川崎市として稼げる数少ない施設である川崎港でありますが、近年のコンテナ貨物取扱量や航路数の増加に対応するため、コンテナターミナルの整備も必要となることも容易に想定できるところであります。そこでまず、東扇島コンテナ機能施設整備費により令和2年度に実施された取組を伺います。
◎白井啓 整備計画課長 東扇島コンテナ機能施設整備費についての御質問でございますが、川崎港においては、増加するコンテナ貨物量に対応するため、川崎港コンテナターミナルの西側に空のコンテナの蔵置場所となるバンプール及びコンテナを乗せる台車の駐車場となるシャーシプールを整備することとしております。東扇島コンテナ機能施設整備費により、昨年度はこれらの施設の設計を実施したところでございます。
◆野田雅之 委員 それでは、答弁いただきました昨年度の施設設計についてでありますが、バンプールやシャーシプールにどのような施設や設備を整備することとなったのか、決定までの経緯と具体的な整備内容について伺います。
◎白井啓 整備計画課長 整備することとした施設や設備についての御質問でございますが、施設配置の検討に当たりましては、市民生活、地域経済を支える川崎港のさらなる利用促進を図るために、官民で構成された川崎港戦略港湾推進協議会にて協議を進め、利用者にとって使いやすい施設を配置しました。具体的な整備の内容は、コンテナやシャーシなどの重量に対応した構成の舗装、出入口で手続を行うためのゲート、夜間荷役に対応するための照明等を整備することといたしました。なお、照明につきましては、環境に配慮したLEDといたしました。
◆野田雅之 委員 それでは、本取組の整備によって川崎港コンテナターミナルにおいて取扱いが可能となる貨物量について伺います。
◎白井啓 整備計画課長 取り扱うことが可能となる貨物量についての御質問でございますが、川崎港コンテナターミナルの取扱量は、昨年、過去最高となる約16万TEUとなりました。昨年12月には、川崎港戦略港湾推進協議会において、令和7年度までに年間取扱量を20万TEUとする目標を設定したところでございます。今般のバンプール等の整備により取り扱うことが可能となる貨物量が増加し、この20万TEUに対応することが可能となるものでございます。
◆野田雅之 委員 ありがとうございました。要望させていただきたいと思います。今回の整備によって、令和7年度の目標である年間取扱量20万TEUに対応可能な施設になるとのことでありました。川崎港コンテナターミナルに航路誘致が促進され、貨物量がますます増大することは、市民生活の安定や川崎市の産業活動の活性化に大きく寄与し、大変有意義なことであると思っております。コンテナ貨物補助制度の有効性も、取扱量の増加が示すように高いとの認識も示していただきました。引き続き、ハード、ソフトの両面を強化して、一体的な取組を進めていただきたく要望いたします。貨物取扱量の増加は大変喜ばしいことでありますが、一方では、コンテナ貨物取扱量が増加をすれば、何らかの対策を行わなければ二酸化炭素の排出量も増加するおそれも生じております。政府も、カーボンニュートラルポートを形成し、2050年の港湾におけるカーボンニュートラル実現を目指すとしました。また、本年に入り、横浜港・川崎港カーボンニュートラルポート検討会や形成推進会議による議論が始まっております。川崎港コンテナターミナルにおいても、脱炭素化に向け対策も併せて行っていただくよう要望するとともに、川崎港がさらに元気な稼げる施設へと成長するよう取り組むことをお願いして、質問を終わります。